ついに出た! 花粉症の最新治療「舌下免疫療法」   2014年 02月 13日

先日、徳島で行われた「日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会」に出席してまいりました。

当初は飛行機で日帰りの予定でしたが、折しも関東~関西地方を襲った大雪で、軒並みフライトはキャンセル。前の晩から急きょ陸路で神戸入り、翌朝予定していた高速バスも橋が通行止めになり、電車に変更し岡山から乗り換えて瀬戸大橋を渡って徳島まで、2日合わせて10時間。夜も飛行機が飛ばないため予定外の現地泊となり、翌朝やっと動き出した高速バスで神戸入りして新幹線で戻ってきましたが帰りも7時間という大変な長旅でした。

なぜ眼科ではない学会にそこまでして出席したかというと、そこで行われた、花粉症に対する「舌下免疫療法」の講習会に参加するためでした。

「舌下免疫療法」は、アレルギー性鼻炎の治療として、ヨーロッパで広く行われていますが、アメリカでは承認が得られておらず、日本でも一部の先生が個人的にされている以外、一般的には行われていませんでした。

ここのところマスコミでも報道されておりますが、「シダトレン」というお薬が厚労省から認可され、今年の6月に発売される見込みで、この「シダトレン」が「舌下免疫療法」のお薬なのです。いよいよ本格的に日本でも行われるようになる予定で、しかも目の症状にも効果がある!とのことで、当院の患者様にもこの治療をご提供できたら、という一心から大雪にもめげず、参加してきたのでした。

「舌下免疫療法」は、「減感作療法」の方法のひとつで、花粉に対するアレルギーを獲得してしまった体にスギのエキスを少しずつ吸収させることで、体を花粉に慣れさせて、症状が出ないようにする、もしくは緩和する、というのが原理です。

減感作療法の良いところは、①今までの症状を抑えるだけの治療と違って、アレルギー自体が治る ②治るまで行かなかった人でも、症状が軽くなるので使う薬を減らせる ③一度効果が出ると、薬をやめても持続する ④使ったアレルゲン(例えば花粉症ならスギ)以外のアレルギー症状も改善する、などです。

かつて、漆(うるし)を扱う職人の方は、漆にかぶれない体質をつくるために若い頃には漆をなめていたそうです。これは経験によって行われていた言わば「天然減感作療法」です。

実際に「シダトレン」は特殊なお薬ではなく、花粉から抽出された「花粉エキス」です。毎日1回、舌下(ベロの下)に目薬のように落としてしばらくそのままにしておくと、口の粘膜から吸収されます。それを続けることで、スギ花粉に体が慣れるように体質が変化し、花粉症の症状が出にくくなるわけです。

今までは、「皮下免疫療法」といい、花粉エキスを少量注射をする方法で行われていました。しかし、注射の度に通院が必要なこと、毎回注射の痛みに耐えなければいけないこと、そして注射する量や体質によってアレルギー反応が激烈に起こる「アナフィラキシーショック」を起こすことがあるなどデメリットも多く、あまり普及しませんでした。

今回の「舌下免疫療法」は①毎日の滴下は自宅でできる(診察は2週間~1カ月おきに受診)②痛くない③今のところ、アナフィラキシーショックはほとんど起きない、という大きなメリットがあります。

たったそれだけで?あの辛かった花粉症が治る?まるで夢の治療ですが、もちろん良いことばかりではありません。
①長期間、毎日滴下しなければならない:効果が発現するまで数カ月、定着するまでは2~3年は続けなければいけません。これまで行われた治験では、脱落率(1年以上続けられず途中でやめてしまう率)が70%もあるそうです。症状がなくても地道に、毎日続けなければいけないのは、意外と辛いようです。
②花粉症の時期には始められない:症状がひどい時こそ治療をしたいのが花粉症の方の心情なのはとても理解できますが、残念ながらその時期に始めてもすぐに良くはなりません。むしろせっかくの効果を弱めてしまう恐れがありますので、花粉症の時期が終了してから始める必要があります。
③原則として、12歳以上が対象:近年は花粉症の低年齢化が進み、当院でも2歳で花粉症症状を発症しているお子さんが見受けられます。かゆいのを我慢できないお子さんにこそ使いたい治療ですが、今のところは年齢制限があります。
④効果が出ない方もいる:こんなに長く続けたのに…治療の効果がない方も3割くらいいるそうです。

我々ドクターも、今回の学会での講習会で修了証をもらい、さらに製薬会社のテストに合格して初めてこのお薬が処方できます。そのため、当院で処方するためには雪の中をかき分けてでも講習を受けに行きたかったのです。

6月というだけで、はっきりとした薬の発売日時が決まっていませんし、当院でもどのように患者様に受診していただくのか、受診スケジュールや予約方法など、これから検討する予定です。まだ何も決まっていない段階ですので、せっかくお問い合わせいただいても、スタッフも私も何もお答えできない状況です。大変恐れ入りますが、現段階での当院への直接のお問い合わせはご遠慮いただきますようお願いいたします。今後このブログや当院ホームページ(クリックでリンクします)で、決まり次第随時お知らせしていく予定ですので、どうぞお待ちください。また、リアルタイムで情報をお知りになりたい方は、ホームページから「クリニック情報お知らせメール」をお申し込みください。

以前からお知らせしておりますように、私も重症の花粉症ですので、開始と同時に自分もこの治療を始めてみるつもりです。そのレポートも逐一お伝えいたしますので、どうぞご期待下さい。

<追記1>
残念ながら、6月予定だった「シダトレン」の発売が延期になってしまいました。詳細は次回のブログ(ここをクリック)をご参照ください。

<追記2>
「舌下免疫療法」をさらに詳しくお知りになりたい方は、この治療の日本での第一人者、日本医科大学病院耳鼻科教授の大久保公裕先生の著書、「舌下免疫療法がわかる本」(日本経済新聞出版社 850円)がお勧めです。この療法のことが詳しく、そしてわかりやすく書かれています。

<追記3>
シダトレンは平成26年10月に無事発売され、当院でも治療を開始いたしました。その後の経過は下記ブログをお読みください。

当院で「舌下免疫療法」を受けていただくにあたって(→クリックでリンク)


by keye-clinic | 2014-02-13 08:45 | 花粉症と舌下免疫療法
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東戸塚駅西口すぐにある片桐眼科クリニックの院長ブログです。


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