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視覚障害者と盲導犬を見かけたら   2016年 09月 11日

先ごろ、盲導犬連れの視覚障害の方が、地下鉄のホームから転落して亡くなるという、大変痛ましい事故が起こりましたのは、皆さん報道などでご存知のことと思います。

今回の事故については、私も大変考えさせられる、そして改めて気づかされることの多い出来事でした。

今まで私は、白い杖をお持ちの視覚障害の方が一人で歩いているときには、その方の行く方向に危険がないか、困っていないか見守って、状況によってはご本人に声をかけるようにしていました。しかし盲導犬を連れている場合は、「優秀な盲導犬に任せておけばよいだろう」という勝手な思い込みで、あまり気にかけることはしなかったように思います。

この度の事故を受けて、各地の盲導犬協会や視覚障害者団体から、「盲導犬連れでも、危険な状況であればためらわずに声をかけてほしい」という声明が出されていました。「盲導犬は段差や障害の有無を教えてくれるが、安全かどうかの最終的な判断は人間がしなければならない」ため「盲導犬がいれば安全とは限らない」のだそうです。

今までは盲導犬協会は、盲導犬を仕事に集中させるために、一般人が盲導犬には声をかけないように告知しており、そうした対応が浸透した反面、盲導犬を連れた人にも声をかけない方がよいという誤解も生んでしまったとのことでした。

盲導犬連れの方への声掛けや誘導の仕方など、「アイメイト協会」のこちらのページに詳しく書かれていますので、ご参考になさってください。→(クリックでリンク)

電車でお年寄りや体の不自由な方に席を譲るのにも、少しだけ勇気がいるように、視覚障害の方に声をかけるのも、少し勇気がいります。初めはどのように声掛けしたらよいのかも戸惑います。でも、その少しの勇気を出して何回か声掛けをしていると、向こうの反応もわかって、声をかけるのにも躊躇しなくなることができます。みなさんも機会がありましたら、ぜひ実践してみてください。

そして改めて、この度犠牲になられまして方のご冥福をお祈りいたします。


by keye-clinic | 2016-09-11 15:50 | 出来事

ロービジョン体験   2015年 04月 11日

今回は当院スタッフの、勤務時間以外での取り組みについてご紹介いたします。

2か月に1度、昼休みを利用して勉強会を開き、目の病気の知識を増やしたり、普段の業務ではできない実務経験を積んだりしています。

直近では、ロービジョン体験を行いました。

ロービジョンとは、失明には至らないものの、病気やけがなど様々な原因で視力が低下したり視野が狭くなったりして、メガネやコンタクトレンズを使っても見え方が改善しない状態のことを言います。具体的な視力の数字の規定はありませんが、矯正視力(メガネで最高視力を出した時の視力)が0.3に満たないと生活にはかなりの不自由を強いられることになりますし、両眼での視野の80%以上が見えなくなっても同様です。

昔は治療ができず失明していた重い病気が、医学の発展とともに失明は食い止められるようになったものの、視力や視野が完全に治らないこともあり、実はロービジョンの方は昔よりもむしろ増えているのが現状です。

今回「社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター」(クリックでリンク) が販売している「ロービジョン体験キット」を使用して、「白内障によるかすみ目、視力低下」「緑内障による視野狭窄」「黄斑変性症による中心暗点」の3つを実際に体験してみました。

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これが体験キットですが、どのメガネがどの病気のものか、お分かりでしょうか?向かって左がうすく白濁したアクリル板越しにみる「白内障」、視界の中心だけ隠れてしまう「黄斑変性症」が真ん中、右は片目だけ先のすぼまった筒の先端に小さな穴が開いていて、中心は見えるけれど周囲は見えない「緑内障」の疑似体験ができます。

実際にこれらのキットをかけて、院内を歩いてみて、視力検査もしてみました。
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白内障用キットは、かけた人を外から見ると目がはっきり透けて見えますので、さほど見づらくはないのかと思いましたが、視力を測ってみると0.05(視力検査表の一番上の0.1の指標さえも見えない状態)でした。全体に白くかすんでいて、2mも離れてしまうと向かい合っていても相手が誰だか全く分かりません。これでは実際に外で知り合いとすれ違っても、挨拶すらできないことでしょう。

黄斑変性症キットでは、周囲は見えているのですが、まさに見ようとしている肝心な部分だけが見えず、非常に不快な思いをします。院内の移動は障害物などが確認できるので問題ないのですが、指標は見えませんので視力検査はできませんし、文字などは到底読めません。

反対に緑内障キットでは、真ん中は見えているので視力は良いのですが、周囲が見えないので大変不安な思いをします。特に院内の移動では、人や椅子、壁などの障害物がどこにあるか分からず、院内の配置が分かっているスタッフでさえ移動は誰かの誘導がないとおぼつかない状態でした。

今回は昼休みが時間切れで、実際に体験キットをかけたスタッフを患者さんに見立てどのように案内、誘導するかなどの対応の練習は後日改めてになってしまいましたが、これらの経験をふまえ、日頃の診療でも目の不自由な方の気持ちになって、少しでも寄り添うことができれば、と思う、貴重な体験でした。


by keye-clinic | 2015-04-11 14:13 | 出来事
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東戸塚駅西口すぐにある片桐眼科クリニックの院長ブログです。


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